学生の学力低下が話題
国際教育到達度評価学会(IEA)が2003年に実施した「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)」でも、残念なことですが、日本の小中学生の理数能力は、以前と比べて低下する傾向にあるという結果になりました。これらの調査結果が明らかになった頃、日本の学校では土曜日を完全に休みとする学校5日制を実施して、学習内容を3割削減・先送りする学習指導要領による教科指導を進めているところでした。つまりゆとり教育が最も進められていた時期にあたります。
1990年代から大学関係者の間で学生の学力低下が話題になっていましたが、1999年に出版された岡部恒治他著「分数ができない大学生」で世間に広く知られるようになりました。また、経済協力開発機構(OECD)が、2003年に世界各国の15歳の生徒を対象に行った学習到達度調査(PISA)で、日本の順位が下がったということから急速に問題視され始めました。しかしながら、順位低下の主な理由は参加国が増加したことであり、PISAのテストにおける日本のスコアは概ね高く、多くの場合、1位グループの国と統計的に差はありません。
東京大学基礎学力研究開発センターが昨年に行った調査「第5回 基礎学力シンポジウム(2006年度)」によりますと、家庭の教育力の低下、そして保護者の利己的な要求の深刻化によって学力格差は広がるという分析が出ています。他には、リスク社会移行に伴う二極化の時に、社会上層は学力の効用(例えば、良い大学に行けば良い会社に行ける)を信じて勉強します。
しかし、社会下層は学力の効用を信じない、あるいは反発して勉強を放棄するため、社会下層において学力低下がより進行し、学力格差が広がるとする意見もあるそうです。進学競争は教科学習の主要な動機付けの一つであって、競争を緩和しますと教科学力も低下する傾向にあります。例えば、高校入試において総合選抜を採用している学区と単独選抜を採用している学区では、中学3年次の学力に顕著な違いがあることが知られています。